アスパラガスの産地について

アスパラガス

店頭で陳列されているアスパラガスの産地を気にして買い物をされていますか? “アスパラガスの有名な産地はどこですか?”という質問をされれば、北海道を思い浮かべる人が多くいらっしゃるのではないでしょうか? まさにその通りです。北海道はアスパラガスの生産地としてもっともよく知られています。全国1位の生産量です。2位が佐賀県、3位が長野県が続き、4位に入るのが、農ライフ五島の位置する長崎県という順です。アスパラガスの産地は日本の南北を問わないことがご理解いただけると思います。

<北から南まで、アスパラガスの産地は点在している>

アスパラガスが全国で栽培されている理由の背景には、輸送技術の発達があります。アスパラガスに限ったことではありませんが、収穫されたものが翌日には主要都市の市場に出荷され、安定した需要を見込めるようになっているので、全国の農家がアスパラガスを栽培できています。これに伴い、産地ごとの出荷量の多い時期を眺めてみても面白い点に気付かされます。まず、全国一の産地である北海道産の出荷量が多い時期は4月下旬から6月であり、特に6月がもっとも出荷量が多いとされています。一方で他の県は、気温や気候の差を利用して出荷のピークをずらしたり、出荷時期に幅を持たせながら生産することで差別化を図ろうとしています。つまり、北海道産のアスパラガスが市場に大量に供給される6月は出荷を控え、3月から4月、あるいは7月以降に出荷が多くなるよう調整することで市場の供給が重ならないように注意しているのです。例えば、長崎県や佐賀県など九州の産地は、本州の各産地の出荷が始まる前となる3月から4月が出荷のピークとなる農家が多くあります。

北海道と九州の産地のあいだには出荷について大きな違いがあります。それは、北海道が5月から6月に集中して出荷しているのに対して、九州では春から秋にかけて冬以外のほぼ1年中出荷しています。この理由は、産地の位置する地域の気候の違いです。北海道のアスパラガスの産地は道北から道央あたりに集中しており、「名寄市、富良野市、美瑛町、東神楽町、美唄市、帯広市、士別市、美深町」で多くのアスパラガスは栽培されています。この一帯は平地となっているので夏は暑く、冬は極寒でなおかつ雪も多い場所となり、ビニールハウスによる促成栽培や、山間部の冷涼な場所で出荷時期を遅らせるような抑制栽培には向いていません。このような地域性より出荷時期が限定されるため、“北海道産のアスパラガス”というブランド力を生かして短期集中で一気に出荷するスタイルをとっています。一方、佐賀県や長崎県のアスパラガスの産地は平野部から山間部まで広範囲に広がっています。減反政策や柑橘類の輸入自由化を受けて、米やみかんに代わる商品作物としてアスパラガスが栽培されるようになったこと、もともと春先に集中的に出荷するばかりだった状況下、栽培技術の進歩によって梅雨の長雨による病気を防ぐことができるようになったことを背景として、出荷時期に幅を持たせながら安定供給を実現することができています。

<アスパラガスの産地を市町村別に見てみると>

続いては、都道府県ではなく市町村別のアスパラガスの産地について紹介してみようと思います。おそらく北海道にアスパラガスの生産量の多い市町村が集中しているのだろうと考えるでしょうが、トップ10には3位に名寄市が入るくらいで、それ以外は他府県の市町村ばかりとなります。市町村別で見た場合、1位には飯山市(長野県)、2位には喜多方市(福島県)が入り、4位に西条市(愛媛県)、5位に中野市(長野県)と順位が続いています。

農ライフ五島のある五島市は54位となっています。北海道の帯広市、土別市と同等の水準となっており、面積が狭い割には多くのアスパラガスが五島市では栽培されていることがわかります。北海道の帯広市と土別市はどちらもアスパラガスで有名なエリアで、かつ面積の広い町なので、それらと並ぶだけのアスパラガスを生産する五島市は、順位の見た目以上にアスパラガスの栽培に力を入れていることをイメージしやすいのではないでしょうか。

<アスパラガスの生産が多い世界の国々>

これまでは日本国内のアスパラガス生産量の多い地域について紹介してきましたが、国内に流通しているアスパラガスのうち、3割ほどは海外から輸入していますので、最後にアスパラガスの生産・輸出に力を入れている諸外国について触れてみます。上で国内農家のアスパラガスの出荷時期について書いた内容を逆手に考えればおわかりいただけるよう、秋が深まったあたりから冬の終わりあたりまでの時期は国産のアスパラガスが品薄となってしまいますので、この時期がアスパラガス輸入のピークとなっています。しかし、1つの国に依存して輸入しているわけではありません。農産物なので収穫時期に差があるからこそ、時期によって輸入先が異なります。10月から12月にかけてはオーストラリアやニュージーランドなど南半球の国々、12月から4月まではペルーやメキシコなど、南米諸国からの輸入が多くなります。これ以外には、タイやフィリピンなど、東南アジアの国々からの輸入も見られます。

おそらくここに中国が入ってこないことに疑問を覚えている方もいらっしゃると思いますが、その理由は缶詰や冷凍品として輸入されているため、農産物とは異なるからです。どのような農産物でも中国が世界最大の生産国かつ輸出国であり、アスパラガスもその例外ではありません。仮に、缶詰や冷凍品もアスパラガスの輸出として捉えた場合、世界最大の輸出国となるのは中国となります。

しかしアスパラガスは、とうもろこしと同じように鮮度が落ちやすい野菜であるため、やはり国産の新鮮なアスパラガスをこだわって食べてもらいたいというのが生産者としての願いです。

コメントはまだありません »

No comments yet.

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL

Leave a comment

CAPTCHA